『魔女の宅急便』という言葉を聞いて、ふと頭に浮かぶのは、あのジブリ映画のワンシーンかもしれません。13歳の見習い魔女キキが、黒猫ジジと一緒にほうきで旅立つ。そんな姿に胸をときめかせた方も多いのではないでしょうか。
1989年に公開されたスタジオジブリ版は、今も色あせない名作として語り継がれていますが、その原作は児童文学作家の角野栄子さんによる同名小説。1985年の初版以来、全6巻にわたって描かれたキキの物語は、子どもの頃に読んで、いまも心に残っているという人も多いのではないでしょうか。
大人になってから読み返すと、キキの成長に励まされるという声も多く聞かれます。
そんな魔女の宅急便が、2014年に実写映画としてよみがえったのをご存じでしたか?監督は『呪怨』シリーズで知られる清水崇監督、脚本は『おおかみこどもの雨と雪』の奥寺佐渡子さん。現代的でリアルな少女像を描くことを目指して、ファンタジーに今の空気を吹き込みました。
そして、主人公キキを演じたのが、当時16歳の新人女優だった小芝 風花 (こしば ふうか)さん。これが、小芝風花さんのスクリーンデビューであり、なんといきなりの初主演。その役は、国民的キャラクターとも言えるキキですから、プレッシャーの大きさは相当なものだったに違いありません。
実写化の発表時には、「あのジブリのイメージを壊さないで」といった声もあり、ネットでは賛否が飛び交いました。そんな中、500人を超えるオーディションから選ばれたのが、まだ演技経験も浅かった小芝さん。
果たして小芝さんは、どのような思いでこの大役に向き合ったのでしょうか?
🔍 この記事を読んでわかること
✅ 実写版『魔女の宅急便』で小芝風花がどんなキキを演じたのか!?
✅ 小芝風花さんが、撮影現場で体験した孤独と成長の裏側
✅ 北共演者や監督との絆が、どのように小芝風花さんを変えていったのか!?
この記事では、『魔女の宅急便』という作品が、小芝風花という女優の原点となった理由を、さまざまな情報をもとに紐解いていきます。
それでは、最後までご覧ください♪
小芝風花さんのプロフィール

・本名:小芝 風花 (こしば ふうか)
・生年月日:1997年4月16日
・年齢:28歳
・出身地:大阪府堺市
・身長:158cm
・血液型:A型
・趣味:お菓子作り・陶芸・キャンプ・編み物・ギター
・特技:フィギュアスケート
・代表作:映画『魔女の宅急便』・連続テレビ小説『あさが来た』・大河ドラマ『べらぼう』
・職業:女優
・事務所:トップコート
キキを演じて見えた未来、小芝風花さんが掴んだ女優のはじまり

2014年に公開された実写映画『魔女の宅急便』。この作品が、小芝風花さんにとってスタート地点となりました。まだ16歳の小芝さんが、いきなり国民的キャラクター「キキ」に挑戦するというのは、想像をはるかに超えるプレッシャーだったことでしょう。
スクリーンデビューにして初主演。しかも、多くの人にとって心の中に理想のキキ像がある中での実写化。当然、注目も期待も、そして批判も集まりました。中でも「ジブリ版とどう違うの?」という比較の声は避けられず、ネット上には賛否が飛び交っていました。
そんな中、小芝さんは自分としっかり向き合いながら、試行錯誤を重ねていきました。そしてたどり着いたのは、「誰かのキキ」ではなく、「自分にしかできないキキ」を演じるという覚悟でした。
風花さんの演じたキキは、型にはまらない自由な少女。
元気いっぱいな笑顔も、悩みや不安に揺れる姿も、すべてがリアルに胸に響きます。その演技には、小芝風花自身の感情がそのまま投影されていたといいます。
観た人の多くが、「この子にしかできないキキだった」と感じたのも納得ですね。その結果、小芝風花さんは、『魔女の宅急便』で高い評価を受け、『第57回ブルーリボン賞・新人賞』、『第24回日本映画批評家大賞・新人女優賞(小森和子賞)』という、将来性を期待される女優に贈られる大きな賞を手にしました。
この作品を経て、小芝さんのキャリアは一気に加速。ドラマ、映画、CMなど多彩な分野で活躍するきっかけになったのは間違いありません。
『魔女の宅急便』は、小芝風花さんにとって女優として生きる決意を固めた瞬間だったのではないでしょうか。そして、観客にとっても「この子は、これからもっと羽ばたく」そんな確信を持たせてくれる一本になりました♪
プレッシャーの中で見つけた、自分だけのキキ

そんな大きな挑戦に、当時16歳の小芝風花さんはどう向き合ったのでしょうか?
ここでは、小芝風花さんが直面したプレッシャーと葛藤、そして努力のすべてをたどりながら、自分だけのキキを見つけていくまでの軌跡をご紹介します♪
小芝風花さんが、直面した「重圧」と「葛藤」
16歳という多感な年齢で、500人以上が参加したオーディションを勝ち抜いた小芝風花さん。演じるのは、言わずと知れた『魔女の宅急便』のキキ。しかも、ジブリ版の印象が根強い国民的キャラクターです。
選ばれた瞬間、小芝さんはその場で号泣。「まさか私が」と信じられない思いの中で、喜びと同時に大きな責任を感じたと語っています。しかし、実写化の発表と同時に巻き起こったのは、賛否の嵐。ブログにも「キキのイメージじゃない」といった書き込みが届き、本人も「正直、悲しい気持ちになった」と明かしています。
「私で本当に大丈夫なのか」「観客に受け入れてもらえるのか」。そんな葛藤が、日々心の中を占めていたと言います。けれど、風花さんは立ち止まりませんでした。
むしろ、自分と向き合いながら私にしかできないキキを演じようと決めたのです。批判にも不安にも、正面から向き合い続けた覚悟こそが、小芝さんの演技を支える軸になっていきました。
こうしたプレッシャーを乗り越えた小芝さんの姿勢には、若さゆえの無鉄砲さではなく、真摯なプロ意識が宿っていたと語られています。キキという役に対して、誰よりも誠実に、そして繊細に向き合っていたことがうかがえますよね。
また、演技に取り組む中で小芝風花さんが選んだのは、完璧な魔女ではなく、不器用でリアルな少女。理想の魔女像をなぞるのではなく、現実に生きている13歳の女の子として、キキを描こうとしたそうです。
この選択が結果として、観客の心に響く、息づいたキャラクターを作り上げることにつながっていきました。

圧倒的な努力で体現した「生きたキキ」
キキは空を飛ぶ魔女。実写でそのリアリティを出すには、相当な準備が必要だったそう。
小芝さんは、撮影の半年前からアクション練習を開始。筋力をつけるために、毎日木刀で素振りを200回。飛び立ち、着地するその一瞬のために、何度も何度も繰り返し練習を重ねたといいます。
さらに小芝さんは、撮影中の1ヶ月間、家族との連絡を一切絶ちました。小豆島のロケ地で、孤独と向き合いながら、まさにキキと同じ“自分を試す時間を過ごしていたのです。
それでも限界はありました。眠れず、顔がむくみ、心が折れかけたことも。そのとき風花さんを支えたのは、母と妹への手紙、そして返ってきたある言葉。
「あんたが、『選んでください』って言ったんか?ちゃうやろ。選んだのは周りの大人や。気にすんな」この母の言葉が、小芝さんの心をそっと軽くしてくれたそうです。
小芝風花が本当の意味でキキになれたのは、孤独を超えて信頼にたどり着いた瞬間だったのかもしれません。
映像に宿るリアルな感情と信頼の絆

映画『魔女の宅急便』のオープニングシーン。満月の夜、黒猫ジジと一緒に、ほうきで旅立つキキの姿が描かれます。キキが目を輝かせながら広がる海を見つめるその表情は、夢と希望と少しの不安を抱えた13歳の少女そのもの。小芝風花さんの演技は、スクリーン越しでも観客の胸をぎゅっとつかむ力に満ちていました。
清水崇監督が重視したのは、「作り込みすぎず、小芝風花らしいキキを描くこと」。その方針に沿って、小芝さんは自然体で感情を込めながら、無邪気さや戸惑い、喜びや悲しみを丁寧に演じ分けていきます。空飛ぶ宅急便屋としての仕事でミスをして落ち込むシーンでは、その揺れる気持ちがそのまま表情ににじみ出ていました。
共演者との関係もまた、小芝さんの演技に奥深さを与えていました。パン屋のおソノ役の尾野真千子さんとは、まるで親子のような信頼関係を築き、撮影中に不安を抱えた小芝さんに、こう声をかけたそうです。
「みんなが風花を見てるわけじゃない。それぞれが自分の仕事を全うしてるだけ」その言葉は、小芝さんの心をそっと軽くし、再び役に向き合う力を与えてくれたといいます。
また、とんぼ役の広田亮平さんも「小芝さんは、撮影を楽しみながら自然体でキキを演じていた」と語っており、特に嵐の中で飛行するグリーンバックのシーンでは、水しぶきと強風にさらされながらも、集中を切らさずに演じ切る姿が印象的だったと振り返っています。
撮影後に行われたBlu-rayリリース記念イベントでは、小芝さんが再びキキの衣装に身を包み、こう語りました。「家族を連れて来て説明したいくらい、思い出がぎゅっと詰まった作品です」。この作品が、小芝風花さんにとってどれほど大きな存在だったのかが伝わってきますよね。
そして風花さんが語った「役と共に私も成長できたら」という一言。その言葉どおり、キキが他人との関わりの中で少しずつ自信をつけていくように、小芝さんもまた撮影の中で女優としての自分を見つけていきました。
映画に映るすべてのシーンに、小芝風花さんのリアルな経験と感情が溶け込んでいる。それが、視聴者の心を動かす理由なのではないでしょうか。
まとめ

2014年、小芝風花さんは映画『魔女の宅急便』で女優としての道を歩み始めました。16歳で、あの『キキ』という大役に挑んだその瞬間は、まるでキキが空を飛び立ったような、希望にあふれたスタートとなりました。
プレッシャーや不安、時に涙さえも経験しながらも、真っ直ぐに向き合ったその姿は、多くの人の心に深く残りました。その結果として、小芝さんはブルーリボン賞新人賞や日本映画批評家大賞新人女優賞を受賞。「この先も応援したい」と感じさせる、確かな魅力を放っていました。
その後も、小芝さんはドラマや映画、CMなど幅広く活動し、2025年にはNHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で花魁の瀬川役を好演。少女らしさを残しつつ、大人の魅力や奥ゆかしさを備えた女優として、日々成長しているのではないでしょうか。
SNSでは「お芝居も心も、もっと成長したい」と前向きに語る姿が見られます。11年前、空を見上げたキキのように、小芝さんも今、新たな未来に向かって羽ばたいているのでしょう。
『魔女の宅急便』がひとり立ちを描いた作品であるように、この映画は小芝風花さんにとっても、自立と成長のきっかけとなる特別な作品となりました。あの黒いワンピース、真っ赤なリボン、そして空を見つめる瞳。それらが、今も小芝風花さんの中で生き続けています。
この作品を観るたび、私たちはきっと思い出すはずです。あの少女が空を飛び立った日を。そして、今も変わらず、まっすぐに未来へと羽ばたいていることを。